9月25日、上海・淮海中路にヴィクトリアズ・シークレットの旗艦店が再びオープンした。9年近く使った中国1号店を3月に閉じてから半年。新店はレースよりもノンワイヤーブラとスポーツウェアを前に出し、店を運営する合弁会社の株式の半分近くは、ブラを納めてきた香港のメーカーが握っている。
1.9月25日、上海の淮海中路と瑞金一路が交わる角に、Victoria's Secretの新しい旗艦店が開いた。住所は淮海中路728号、今年開業した商業施設「龙凤PRSCO」(以下PRSCO)の1階。同じ通りで3フロアを使っていた中国1号旗艦店を3月10日に閉め、半年で戻ってきた場所だ。
2.閉じた店は2017年の中国進出時にLippo Plaza(力宝广场)に出した約1,500㎡で、国内最大だった。閉店理由は賃貸借契約の満了。新たに入ったPRSCOは、淮海集団(淮海集团)などが地下鉄駅の上に建てた延床約5万㎡のビルだ。今春、スイスのチョコレートLindtの中国初の旗艦店を最初のテナントに迎えて試験営業を始めた。新店の面積は非公開。

3.建物の角には切妻屋根形の黒いフレームがいくつも立ち、そのひとつの内側にピンクのクリスタルガラスを滝のように垂らした。ガラス壁の中央を大きな窓で抜き、脇にLEDスクリーンを埋め込んだので、通りの向こうから見ると広告とショーウインドーが一枚につながって見える。交差点の角の1階だから、横断歩道から店の正面がまっすぐ目に入る。


4.中に入ると天井の中央にクリスタルのシャンデリアが下がり、白い大理石の床に黒い線が菱形を描く。壁は鏡の破片を組んだ格子。入口の丸テーブルには、ビジュー付きのブラを着けたトルソーとピンクの花束が載る。扱うのは下着・ルームウェア・香水・コスメ・ボディケアのすべてで、香水とビューティーは区画を分けた。

5.試着室は一室ずつ扉を閉める個室にし、鏡を三面に巡らせた。採寸するスタッフが常駐し、ルームウェアに文字を刺繍する上海限定サービスも付けた。どちらもオンラインの注文画面にはできないこと。


6.売り場の構成は2017年とはまるで違う。ノンワイヤーブラとスポーツブラ、ラウンジウェア、スウェット、ジョガーパンツが大きく増えた。レースとプッシュアップで名を上げたクラシックラインは今も目立つ位置に掛かっているが、占める割合は減った。入口近くのマネキン3体のうち2体はフーディーとクロップドTシャツ姿。

7.先に動いたのは中国の下着市場だ。新浪が引いた数字では、ノンワイヤーブラのシェアは6年で26%から68%に上がった。体を締めて形を作る下着から楽に着られる下着へ需要が移る間に、Ubras・NEIWAI(内外)・Bananain(蕉内)といった中国ブランドが先にその席を取った。
8.価格も下がった。かつての主力ブラは数百元台で売られていたが、いま天猫(Tmall)の公式店でよく売れるモデルは100元前後。カップサイズと型紙をアジア人の体型に合わせて引き直し、粘着式シームレスややわらかく支える構造も取り入れた。価格に敏感な客の前で、中国ブランドと同じ列に並ぶという計算である。
9.数量を動かすのはオンラインだ。21世紀経済報道(21世纪经济报道)によると、今年の618セールのライブ配信でシルクコットンのパジャマが4分30秒で12万着売れた。パジャマやラウンジウェアは試着しなくても画面で売れる。では1階の店は何を担うのか。ブラのサイズ合わせである。

10.この店を開く会社はヴィクトリアズ・シークレット本社ではない。本社は2022年、中国事業の株式49%を香港の下着メーカーRegina Miracle Internationalに4,500万ドルで譲り、両社が追加出資して合弁会社を作った。Regina Miracleは長年ヴィクトリアズ・シークレットのブラを作ってきた納入業者。工場の持ち主が店の株式の半分近くを握る構図だ。
11.合弁会社の数字はRegina Miracleの年次決算に別枠で載る。前期の売上高は42.4%増えて28億香港ドル近くになり、純利益は6倍に跳ねた。そのうち1億4,000万香港ドルは過去の欠損から生じた繰延税金資産で、一度きりの利益。
12.Regina Miracleがこの持分で計上した利益は2億3,700万香港ドル(約3,000万ドル)で、会社全体の純利益の84%にあたる。一度きりの税効果を除いて計算し直すと、年間の取り分は2,400万ドルほどに縮む(推計)。それでも4,500万ドルで買った持分を2年かからずに回収するペースだ。
13.店はさらに増やす。58店前後の中国店舗を年末までに70店超にする。北京・上海・広州・深圳・杭州は密度を上げ、青島・合肥・ハルビンのような地方の拠点都市には1都市1店で入る。本社側の流れも同じ方向を向く。前四半期の国際部門の売上高は20%増え、会社全体の伸び率の2倍だった。
14.2017年、ブランドが中国に入ったその年の秋に、ファッションショーが上海で開かれた。Lippo Plazaの3フロアは、ショーが作ったイメージを街に持ち出した店だった。ショーは2019年に中断。中国の合弁会社はその後も赤字が続き、2023年度下期に黒字へ戻った。
15.今回の店で何を前列に掛けるかを決めたのはショーではない。ショーが止まっている間に楽な下着の市場を開いたのは中国ブランドで、ヴィクトリアズ・シークレットはそこへ遅れて入った。合弁後、設計と調達は現地に移り、その仕事を握るパートナーはブラを自ら作る工場である。ピンクガラスの正面は2017年に似ているが、売り場の前列は競合が先に開いた市場を追っている。

16.ヴィクトリアズ・シークレットは淮海路で9年使った3フロアを空け、半年で同じ通りの1階に戻り、売り場の前列にはレースの代わりにノンワイヤーブラとスポーツウェアを掛けた。店を運営する合弁会社は前期に売上高を42%伸ばし、その株式の半分近くはブラを作る工場が握っている。韓国で同じ店を作ろうとすると、まずつまずくのは1階の試着室だ。路面1階の賃料を払う面積を、什器ではなく試着室と採寸スタッフに回さなければならない。それには、その店で採寸した客が後日アプリで買った売上まで店の取り分として数える精算の仕組みが先に要る。
