大阪のあるスペシャルティのロースターが今朝八時に四つ目の店舗を開いた。場所は心斎橋。創業7年で初めての繁華街への出店であり、二か月前に受けたB Corpの認証の後で初めて出した店舗である。裏通りに三つとロースタリーを一つ先に建てておいて、観光の商圏へ最後に来た順序をたどってみる。
1.大阪市中央区南船場3丁目7-31、1階。心斎橋駅から歩いて5分、せんば心斎橋筋の商店街から1分の距離だ。2026年7月28日の朝8時、ここでSÖT COFFEE ROASTER 心斎橋が扉を開いた。運営は株式会社ビットバイビット、2018年12月の設立である。
2.この会社の四つ目の店舗だ。前の三つは大阪の天満橋と北浜、京都の七条だが、三つともオフィス街か川沿いの裏道にある。観光と繁華街の商圏は今回が初めて。営業は8時から18時まで、ラテ750円、バスクチーズケーキ800円。
3.ブランド名のSÖTはスウェーデン語で「甘い」という意味。会社はSCAで80点以上の等級の豆だけを使い、北欧式に浅く焙煎すると明かしている。新しい店舗に掲げた文は「Not Just Coffee. Power Fruits.」。コーヒーを覚醒剤ではなく果物のほうへ押しておくという宣言だ。
4.浅く焙煎した豆は暗く焙煎した豆と音から違う。グラインダーへ入る音が短く硬く切れ、杯から上がるのは焦げた香りではなく酸い果物のほう。ケニアのレウラのナチュラルに付いたカップノートがパッションフルーツとブラッドオレンジ、エチオピアのグジG1ブラックハニーはレモンティーと杏だ。濃い焙煎に慣れた舌にはコーヒーより茶に近く来る。

5.面積と座席は公表されていない。天満橋の本店が1階30席に2階20席を足して50席であるのに対し、心斎橋は1階の単層で、公開された写真から見れば15〜20坪に20〜30席の規模と推定される。京都の七条店が築100年の町家を直して使ったのとは違って今回は商店街の路面1階なので、扉を開けておけば通りすがりの足がそのまま入ってくる。

6.杯の値から数えてみる。ラテ750円は韓国の金でおよそ7,100ウォン。自家焙煎の豆をkgあたり2,500円と置けばダブルショット20gに50円、ミルク180mlに45円、カップと蓋とスリーブに30円が付いて、杯あたりの原価は125円前後、原価率17%と推定される。ケーキが一緒に売れる比率を四人に一人と見れば客単価は1,100円あたりだが、天満橋店の公表された平均の予算が1,000円なのでその近くと見る。

7.日本には韓国にない変数が一つ付く。消費税の軽減税率だ。テイクアウトは8%、店内での飲食は10%。税込750円を両方で同じように受け取れば、会社に残る税抜の金額が694円と682円に分かれて杯あたり12円が開くのだが、一日200杯なら2,400円。大きな金ではないが、観光の商圏でテイクアウトの比率が上がるほど、この12円が同じ方向へ積み続ける。
8.賃料を載せてみる。心斎橋の1階路面の平均の募集賃料が2023年の基準で坪あたり3万円台の半ばで、南船場の裏道はそれより下だが、2026年5月にこの街に出た7.56坪の店舗が月16.5万円で坪あたりおよそ2.2万円だった。20坪を坪あたり2.5万円と置けば月50万円。一日180人に客単価1,100円なら月の売上がおよそ594万円なので賃料の比率は8〜9%と推定される。韓国のカフェが通常10〜15%を使うのと並べて置けば、大阪の裏道の値が見える。
9.人のほうはもっと重い。大阪府の最低賃金が時給1,177円でスペシャルティのバリスタはその上から始まるので1,400円と置けば、10時間の営業にピーク3人、平常2人なら一日25人時で35,000円。月105万円なら売上の18%であり、社会保険と店長の正社員の給与を載せれば25%の線に届く(推定)。原価と賃料と人件費を全部引いてもまだ場所が残るが、その場所に何を座らせるかがこの店の本論である。

10.豆だ。オンラインの小売価は100gの基準で1,880円から7,960円まで開く。パナマのドン・エドゥアルドのゲイシャ・シメトリー100gが7,960円でラテ十杯の値を超え、コロンビアのエルパライソのアナエロビック・ライチが3,680円、ケニアのレウラとエチオピアのグジが3,080円。月3,500円の購読は4,000円分の豆を15%安く送る構造であり、卸は1kgから受ける。店舗が杯で売るあいだ、ロースタリーは袋で売る。

11.B Corpの認証は2026年5月30日に受け、心斎橋店がその後の初めての出店である。日本の法人のうち認証を受けた会社は2023年4月の21社から2026年7月の99社へ増えたが、その中でコーヒーのロースターは数えるほどだ。認証が客を連れてくるのではない。連れてくるのは契約書のほうである。ホテルやオフィス、海外のバイヤーが納品先を選ぶときに埋めよと求める欄を、先に埋めておく仕事だから。
12.客の側から見れば別のものが売れる。心斎橋は一日中人が押し寄せる商圏であり、2026年1月から3月だけで日本を訪れた外国人が1,068万人だった。その流れの真ん中で朝8時に扉を開ける浅い焙煎のコーヒー店は、観光地のカフェの顔をしていない。先行する三つの店舗がつくっておいた街の店の顔、旅行者が買おうとしているのはそれだ。

13.経歴は北欧にある。浅く焙煎して酸味と甘さを生かす文法はオスロとコペンハーゲンで整理され、2010年代に東京へ渡ってきた。この店がその文法へ載せたのはローカルの名前だ。ハウスブレンド二種の名前が御城と京都鴨川、大阪城と京都の川である。スウェーデン語の名前のブランドが北欧式に焙煎し、大阪の地名を付けて売る。
14.分かれるのは順序だ。普通は人の多い場所へ先に入って現金をつくり、その金で裏通りにロースタリーを建てるのだが、この会社は逆へ行った。2019年の天満橋を皮切りに北浜と京都の七条まで裏道だけを三つ埋め、2022年に兵庫県の宝塚へロースタリーを建てた。2021年に米国のCoffeeReviewで世界3位という指標もそのあいだにつくった。繁華街は最後であり、7年がかかった。


15.裏道で7年を過ごした大阪のロースターが、B Corpの認証を受けて二か月で初めて繁華街の1階に店舗を出した。数字を一つだけ残すなら100gに7,960円のゲイシャだが、ラテ十杯の値を袋一つで受け取るこの構造が、狭い店舗の低い客単価を耐えさせる。韓国でまず引っかかるのは好みではなく書類だ。店舗で焙煎した豆を袋で売るには即席販売製造加工業の申告が必要であり、ロースターの容量によっては大気排出施設の申告と防止設備が付いてくる。杯だけで売るカフェと、袋でも売るロースタリーは同じ業種ではない。

