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SHIMOCHAのアイス抹茶ドリンク · カップに店のロゴが入っている。ⓒ株式会社下鴨茶寮(PR TIMES)
SHIMOCHAのアイス抹茶ドリンクカップに店のロゴが入っている。ⓒ株式会社下鴨茶寮(PR TIMES)
デイリー drink

1万4,300円のコースの締めのデザートを、660円の最中に挟んで売る(東京・抹茶カフェ)

2026.09.27

京都の料亭・下鴨茶寮が、創業170年の年に東京・麻布台で抹茶カフェを開いた。本店のコースの最後の一皿として出してきた抹茶テリーヌを最中の皮で挟み、ドリンク一杯の値段で売る。

1.9月11日、東京都港区麻布台1丁目のSD22ビル1階にMatcha Cafe SHIMOCHAが開店した。東京メトロ日比谷線神谷町駅から徒歩3分、営業は朝9時から夕方6時まで。定休日は不定休。京都で170年続いてきた料亭がつくった、新しいカフェブランドである。
神谷町駅5番出入口 · 麻布台ヒルズ ガーデンプラザAと一体になっている。ⓒMaedaAkihiko, CC BY-SA 4.0 (Wikimedia Commons)
神谷町駅5番出入口麻布台ヒルズ ガーデンプラザAと一体になっている。ⓒMaedaAkihiko, CC BY-SA 4.0 (Wikimedia Commons)
2.本店は京都・左京区、下鴨神社のそばにある。1856年創業で、昼のコースは1万4,300円、夜は2万円を超える。現在の主人は放送作家の小山薫堂。映画『おくりびと』の脚本を書いた人物で、先代の女将に頼まれてブランディングを手伝ううちに、2012年に経営そのものを引き継いだ。店名は、地元の人がこの料亭を略して呼んできた「下茶(しもちゃ)」から取っている。
下鴨神社 楼門 · 本店はこの神社のそばにある。ⓒZairon, CC BY-SA 4.0 (Wikimedia Commons)
下鴨神社 楼門本店はこの神社のそばにある。ⓒZairon, CC BY-SA 4.0 (Wikimedia Commons)
糺の森 · 下鴨神社の境内に続く森の道。本店はこの森の近くにある。ⓒyasui, CC BY-SA 3.0 (Wikimedia Commons)
糺の森下鴨神社の境内に続く森の道。本店はこの森の近くにある。ⓒyasui, CC BY-SA 3.0 (Wikimedia Commons)
3.店内はグリーンとホワイトを基調に、明るい木を合わせた。ロゴもグリーン地に下鴨茶寮の扇の紋をのせたもの。運営会社が明かしたのはここまでで、面積と席数は公表していない。本店は4名から36名まで入る部屋を別々に設け、客を分けて迎える店だ。麻布台の1階店はその反対側にある。扉を開けて一杯を選び、長居はしない店。
ロゴ · 本店の扇の紋と創業年を一緒に入れた。ⓒ株式会社下鴨茶寮(PR TIMES)
ロゴ本店の扇の紋と創業年を一緒に入れた。ⓒ株式会社下鴨茶寮(PR TIMES)
4.ドリンクの中心は抹茶。抹茶ソーダと抹茶ラテが770円、抹茶スムージーが990円。コーヒーもアメリカーノとラテがあり、水出し緑茶も出す。ドリンク開発には東京のコーヒー店「私立珈琲小学校」の店主が協力した。小学校の教員を経て代官山に店を開いた人物である。料理は料亭の厨房が担い、ドリンクだけは厨房の外のカフェの人に任せた格好だ。
5.抹茶ソーダは名前のとおり、炭酸水と抹茶を一杯に収めた。抹茶の原料である碾茶は収穫前の数週間、覆いをかけて育てる。日を遮ると苦みが減り、うま味が残る。その緑の粉が炭酸の鋭い泡に触れると、口の中でまず青い香りが立ち、苦みは飲み込むときに追ってくる。氷が溶けるほど層がぼやけるので、これは早く飲む一杯だ。長居しない店と調子が合う。
6.看板メニューは抹茶サンド。本店のコースでデザートとして出してきた抹茶テリーヌを最中の皮で挟み、マンゴー・ラズベリー・レモンの3種から果物を選ぶ。テリーヌは白あんにホワイトチョコレートと生クリームを練り合わせ、抹茶を加えたもの。スプーンがゆっくり沈むほど詰まっている。香ばしい最中の皮がまず砕け、口に残る甘さを酸っぱい果物が断つ。価格は660円。
抹茶サンド · 最中の皮に抹茶テリーヌと果物を挟んだ。ⓒ株式会社下鴨茶寮(PR TIMES)
抹茶サンド最中の皮に抹茶テリーヌと果物を挟んだ。ⓒ株式会社下鴨茶寮(PR TIMES)
7.1万4,300円のコースを食べなければ味わえなかった一皿が、660円になった。京都の料亭は初めての人には敷居が高く、コース一回には予約を入れて半日を空ける必要がある。SHIMOCHAが売るのは、その敷居の手前の一口。名前を味わった客が本店の予約に進めばよし、進まなくてもテリーヌの箱を買って帰る。
京都の懐石の一膳 · コース料理はこうした小皿を何度にも分けて出す。下鴨茶寮の膳ではない。ⓒDonatingpictures, CC BY-SA 4.0 (Wikimedia Commons)
京都の懐石の一膳コース料理はこうした小皿を何度にも分けて出す。下鴨茶寮の膳ではない。ⓒDonatingpictures, CC BY-SA 4.0 (Wikimedia Commons)
8.麻布台を選んだのも同じ計算だ。2023年11月に麻布台ヒルズが開業してから、この一帯では大使館の職員、外資系企業の人、観光客が同じ道で行き交う。運営会社も、多様な国の人が集まる街であることを出店の理由に挙げた。京都まで行くことのない人に京都の名を売るのに、これ以上の場所があるだろうか。
麻布台ヒルズの入口 · カフェと同じ麻布台1丁目にある。ⓒSyced, CC0 (Wikimedia Commons)
麻布台ヒルズの入口カフェと同じ麻布台1丁目にある。ⓒSyced, CC0 (Wikimedia Commons)
9.抹茶を求める人は、もう列をつくっている。海外需要が伸び、日本の茶畑は煎茶を減らして碾茶へ切り替えている最中で、東京のあちこちに抹茶スタンドができた。その中で新しい店が打ち出せることは多くない。原料の出どころか、つくった人か。SHIMOCHAは後者に170年を賭けた。
覆いの下の茶畑 · 京都・宇治の木幡。碾茶はこうして日を遮って育てる。ⓒおいでやす千年の都, CC0 (Wikimedia Commons)
覆いの下の茶畑京都・宇治の木幡。碾茶はこうして日を遮って育てる。ⓒおいでやす千年の都, CC0 (Wikimedia Commons)
10.お金は一つのテリーヌから三度出てくる。本店では1万4,300円のコースに含まれ、オンラインショップでは4個入り1箱を1,944円で売る。1個あたり486円。SHIMOCHAはその1個に果物と最中の皮を足し、660円を取る。新商品を開発せず、同じテリーヌを三つの価格帯に分けた。テリーヌは冷凍で30日もつので、京都でつくって東京へ送るのもたやすい。
테린 한 가지, 가격 셋 세금 포함 엔 · 본점 코스는 1만 4,300엔 안에 디저트로 들어간다 온라인 상자 1개분 486 SHIMOCHA 말차 샌드 660 (과일·모나카 껍질 포함) 온라인 4개들이 상자 1,944 말차 라테 한 잔 770엔의 재료비(추정) 말차 3g 약 90 우유 약 45 컵·뚜껑·빨대 약 35 나머지 약 600 · 인건비 · 임대료 · 이익 재료와 용기 약 170엔, 판매가의 22% 안팎 말차 1kg 3만 엔 · 우유 1L 250엔 가정. 사용량과 단가는 추정이며 가게가 밝힌 수치가 아니다
価格と原価の推定テリーヌの価格はプレスリリースと公式オンラインショップによる。
11.ドリンクの側は原料が揺れている。今年5月13日、JA全農京都の碾茶初入札で平均落札単価は1kgあたり1万4,127円となり、過去10年で最も高かった。前年の初入札の約1.7倍。この葉を挽いて粉にし、卸を通せば、店が仕入れる抹茶はさらに高くなる。1kg3万円と見てラテに3gを使えば抹茶代だけで90円、牛乳とカップを足して一杯の材料費は約170円。推定である。
12.家賃も軽くはない。飲食店ドットコムによると、直近1年に掲載された神谷町駅周辺の1階店舗の平均賃料は坪あたり月4万8,528円。面積は非公表で、15坪と仮定すると月に約73万円かかる。推定。
抹茶ラテ · 抹茶に牛乳を注いだ、よくある形のラテ。SHIMOCHAの一杯ではない。ⓒIrvan Ary Maulana, CC BY-SA 4.0 (Wikimedia Commons)
抹茶ラテ抹茶に牛乳を注いだ、よくある形のラテ。SHIMOCHAの一杯ではない。ⓒIrvan Ary Maulana, CC BY-SA 4.0 (Wikimedia Commons)
13.家賃を売上の10%に収めるには、月730万円を売る必要がある。28日営業なら1日26万円、客単価1,200円なら来店客は約220人。9時間営業なので1時間に24人ほど。ドリンクだけで埋めるには重い数字で、だからこそ1,944円のテリーヌの箱が効いてくる。箱ひとつで抹茶ラテ2杯半の値段だ。すべて推定。
14.京都で茶を売る店がカフェを兼ねるのは昔からのことだ。祇園の茶商・祇園辻利は茶房「茶寮都路里」を営み、抹茶テリーヌもすでに商品として売っている。ここは茶葉を売る茶商から始まった。原料を選ぶ目と取引先を先に握り、その上に店を載せた順番である。
15.下鴨茶寮は逆から来た。料亭は茶葉を売る店ではなく、コースの中で一杯の茶を出す店で、プレスリリースにも抹茶の産地や茶問屋の名はない。碾茶の値が上がれば、茶商より先に痛みを受けうる側だ。代わりに持っているものがある。170年の名前と、コースの終わりに客が先に覚えたテリーヌのレシピ。原料ではなく、料理と名前で勝負する抹茶カフェである。
16.下鴨茶寮は、コースのデザートだった抹茶テリーヌを660円の最中に挟んで東京のオフィス街の1階に出し、4個1,944円の箱でもう一度売る。原料となる碾茶の初入札価格が1年で約1.7倍になった年の出来事だ。韓国の飲食店が本店のデザートを別の都市の店へ送ろうとすると、まず食品の許可でつまずく。店でつくってその場で売る「即席販売製造・加工業」では他の事業者への納品ができず、食品製造・加工業の登録と表示の準備が必要になる。
デイリードリンク #047 · 2026.09.27 · 出典と確認。開店日(2026年9月11日)、住所(東京都港区麻布台1-11-10 SD22ビル1F)、神谷町駅徒歩3分、営業時間(9:00〜18:00、不定休)、メニューと価格、ブランドカラーとロゴ、店名の由来(下茶)、1856年創業と170周年、代表の小山薫堂、ドリンク開発に私立珈琲小学校の店主が参加した点は、株式会社下鴨茶寮のプレスリリース「茶懐石を源流とする下鴨茶寮から、新しいお茶のかたち。」(PR TIMES)とグルメプレス、VOIX life、TEAM CAFE TOKYOの記事による。冒頭のドリンク写真、ロゴ、抹茶サンドの写真はこのプレスリリースに掲載されたもの。私立珈琲小学校店主の教員歴と代官山での開店はCafeSnap・レコールバンタンのインタビューによる。本店の昼コース1万4,300円と夜の予算、部屋の規模(4〜36名)は食べログ「下鴨茶寮 本店」による。小山薫堂の経営継承(2012年)と経緯は日本経済新聞のインタビューと下鴨茶寮公式サイトによる。抹茶テリーヌ4個1,944円と冷凍30日、原材料は下鴨茶寮公式オンラインショップによる。碾茶初入札(2026年5月13日、平均1kg1万4,127円、過去10年で最高、前年の約1.7倍)は京都新聞と食品新聞による。神谷町駅1階店舗の平均賃料は飲食店ドットコムの賃料相場による。煎茶から碾茶への転換は農林中金総合研究所のレポート「抹茶ブームと煎茶高騰」による。祇園辻利の抹茶テリーヌ販売は祇園辻利公式オンラインショップによる。面積、席数、抹茶の産地と取引先は非公表のため記していない。抹茶の卸値、ラテ一杯の材料費、面積15坪と月額賃料、賃料比率10%、営業日数28日、客単価1,200円、1日の来店客数は推定であり、この店の実際の数値ではない。即席販売製造・加工業の納品制限は韓国食品衛生法施行令の営業区分と食品医薬品安全処の解説による。